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2014.01/28 [Tue]
甲州印伝の皮革技術

さて甲州印伝は2014年1月現在、200以上ある伝統的工芸品の品目の中で唯一の皮革工芸です。
そういった背景もあるので甲州印伝には皮革製品に使われる様々な伝統的技術が使われています。
印伝の耐久性や魅力、デザインを伝えるブログはあっても、今のところこういった部分を紹介しているページが見当たらないため、今回はこちらを紹介させて頂こうと思います。
まずは「へり返し」という技術です。
これは表革と裏側の境。革の断面を仕上げる方法の一つです。写真のように革の断面を表革で包み込むようにして
仕上げます。
ヘリ返しをする前には返す部分、写真でいうところのトンボの柄のついている部分の革漉を行います。
もちろん一枚一枚革の厚みは微妙に違いがあり、なおかつ表面に漆が盛り上がってついているので表革は
凸凹な状態です。そのため、革漉で一定の厚みに仕上げるのには大変技術を要します。
設定を間違えると「漉き切り」が起こり革ごと切断してしまうため、都度毎に微調節を行い
一枚一枚漉いていきます。これらは全て感覚と手作業で行っていきます。
さてヘリ返しが終わった後、は角の部分の処理 「菊寄せ」です。
角の部分では内側より外側のほうが距離が長いため(外側から包み込むようにしていくため当たり前ですが)外側から返してくる革が、内側で余ります。そこで使うのは「菊寄せ」というやり方です。
内側に余った革を菊の花弁のように内側角に順番にシワを寄せ均等に折り曲げていくことで菊の花のような仕上がりとなります。この菊寄せの花弁が多ければ多いほど美しい仕上がりとなり、また厚みが均一になるため、後の縫製も非常に楽になります。
最後に「念引き」を行います。
これは写真では分かりずらい部分もありますが、表革へり返しと裏革の間に一本の筋のようなものがついています。
これは「念」という道具を使い、作業を「念引き」と言います。
これをすることでよりヘリ返しのラインが引き締まって見える視覚効果を得られます。
これらの技術は地方によって名前は微妙に違えど、日本の袋物に見られる技術です。
当社の甲州印伝にもこれらの技術は多く使用されております。
数ある印伝選びの参考になれば幸いです。
参考:経済産業大臣指定伝統的工芸品 wikipedia
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